メンヘラ女が失恋から立ち直るのだ
もう泣いてすがって彼を追い求めるのはやめようと思います。失恋暴挙で過食に走るのもできればやめときたい…はやく立ち直らなければ…
って、実際やってりゃ、立派なメンヘラストーカーだからさー、過食の果ての脂肪の鎧着て重石つけて自分をがんじがらめにして動けないようにして、自分の気持ち羽交い絞めにしておさえてきたんだけどさー
しばらく付き合って、会えることが特別なことに思えなくなったり、むしろ負担に感じたり、姿見ただけで声が上ずっちゃうくらい好きじゃなくなったら自然に消滅できると思っていたんだよねえ。
別に結婚したかったわけでもなんでもないし。なんでもいいからたまに会えたらいいな、くらいに思っていたんだ。
つまり失恋も想定内だったはず。
それが、あっさり「やっぱりこんなの良くないよ」なんて手のひら返しにあっちゃって、私の気持ちは火がついたままでどーしてくれるのよ、こんなに早く引き返せるなら最初から声なんか掛けないでよ、こっちが断ってるうちに引き下がってくれたらよかったのに、ってちょっとだけ恨めしかった。でもね、薄々気づいていたんだ。声掛けさせたのは自分の方なんじゃないか、って。
私って今流行の『癒し系』とは対極にいるようなメンヘラ女だからさー男が求めるような黙って話し聞いてあげて励ましてあげる優しい女になれなくて、ひとこと言われたらどーしてもキャンキャンとメンヘラっぽく言い返してしまう。ってことには気づいていたんだけど、それは彼にだってわかっていたはずで、だったらなんで声掛けたんだよぉって考えたら、私が魔を刺させたような気がする。
実は初犯じゃないんだよね?10年以上前に前々から知り合いだった妻子ある人に熱烈惚れられて、すったもんだしたんだよね。あの時もうっすら思ったんだ。今までまじめに生きてきたこの人のふと人生を振り返ったときに感じる寂しさと私の中の何かが呼応してしまった、って。今回もそんな感じ。20年以上女っ気なしでまじめに生きてきた彼が親しい人の自殺にあって、ふと人生に感じた疑問、寂しさみたいなものと私の中の何かが求め合ってしまった。
私はそれで孤独を癒せやしないけど、少なくとも、唇が寂しくない、とか体が寂しくないとか、そういう次元でもそばにいてくれる人、寄りかからせてくれる人が欲しかった。それには彼は最高の人ですごく頼もしく思えた。健全で考え方も立派で彼についていけば私だって、日向道歩いたっていいんじゃないか、おなかの底から笑ってもいいんじゃないか、って思わせてくれるようなところがあった。
それでね、今また日陰の寒いところから太陽のようなあの人に恋焦がれているんだけど、だけど、彼にとっては私は悪の道へと誘う悪魔の遣いのような邪悪な存在なんだ。多分昔の彼にしてもそう。今までまじめに生きてきた人の人生狂わす、そんなことのために生まれてきたとは思いたくないけれど、でも、私にはそんなところがあるのかもしれない。
本当はこんなふうに考えたくない。誰かに否定してもらいたい。でも、彼とたとえまた会えても彼にとっていいことは何一つないんだ、ってのは事実。メンヘラの私じゃ彼を幸せにしてあげられないんだ。ってよおくわかったから諦める。
もう帰ってきて欲しいって思うのはやめた。
ささ……メンヘラ女が失恋から立ち直る時の到来だ。Let him go.
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