メンヘラの気持ちは医者に通ずぬ
病院に行った。夜鰯の酢びたしを食べてから嘔吐し、その後ずっと胃が痛かったので、諦めて病院に行った、のが間違いだった。なるべく病状を正しく説明しようと思ってるのに、メンヘラのまどろっこしい説明は先生に通じない。「差し込むような痛みはある?」
と訊かれて、「差し込むような…?ぐっっと押されるような痛みならありますけど」
「だから、差し込みは?あるかないか、どっちなんだって聞いてんだよ」
ってものすごく乱暴で怖いの。
「わかんない人だなあ」て呆れられて、
「食中毒ではないな。原因はわかんないけど胃炎だな。アルコールかもしれないし、神経性かもしれないし」
って私、アルコール飲まないもん。聞けよ、そういうことこそ。そんな素人でも出来る診断下して。
もうすっかり阿呆扱いされて、しまいには
「じゃあ薬出しますから、吐き気止め、これは食前ね。それから胃酸を抑える薬と痛み止め。これは食後。
わかる?こっちはご飯の前で、こっちはご飯の後。難しいよ。わかったっ?」
ってそりゃあたしは道に迷ってるメンヘラ女だけどさー、そんな物言いしなくたっていいのにぃ? すごい傷ついた。もう二度とくるもんか。
こんな医者の書いた処方箋なんか、って、薬局に行かず薬貰わなかった。だって、胃酸止め、って「ガスター10」って書いてんだよ、カタカナで。
うちに帰って、だんだん腹立ってきて、その夜以来怖くて手をつけなくて、それでも捨てられなくて冷蔵庫にしまって置いた鰯の酢びたしの残りを自棄食いした。私っていつも怒りの矛先が自分に向いてしまう。それがメンヘラだ ww
本当はヤブ医者に怒ってたはずなのに、とばっちりを食うのは私。彼と別れたときの捨て台詞も「もう太ってやる!」だった。相手に対してどうこう言えない。思えない。いつも自分を罰してしまうメンヘラ女なんだ。
そしてこれくらいのことで思いの外、傷ついてる自分にびっくりした。
今までもっと嫌な目にあってきたのに乗り越えられたじゃないか、もっとたくさんひどいことあったじゃないか、それでもやってこれたのにこんな些細なことに傷ついてどーするんだよ、
って自分を叱りつけてみたけど、なんかどんどん滅入っちゃうの。私こんなに弱ってる。現実の世界にはますます適応できなくなってきているのかもしれない。そう思ったらこの先どうなっちゃうんだろう、って心配になってきちゃった。
で、気がついたんだ。今まで、自分の気持ちを無視してきた、って。いろんなこと親が決めたり周りが決めるのでそれにあわせてうまく転がり込んで、そうして自分の居場所を見つけていた。そこで私が下手に好き嫌いを言うと、纏るものも纏らないからなるべくいろんなことに対して感情を働かせないようにしてきた。
鈍感だから強かった。やってこれたんだ。
そうやって抑圧してるうちに本当に自分の気持ちというものがわからなくなってしまった。いい年して、今頃自分にも気持ちというものがある、ってわかって、たいていそれは言葉にできないモヤモヤしたもの。
あのね、ある日のこと。自分のバスタオルがボロくなったから、それは犬にあげて、自分用に新しいのをおろそうと思って見たの。
愕然としました。犬のほうが良いバスタオル使ってる…一瞬、こっちととりかえっこして貰おうかな?なんて思ってしまって
段々腹立ってきたのね。メンヘラだからって、自分をないがしろにするのもいい加減にしろよぉ?って。そもそもそういう割り当てしてタオル決めたの私。自分は使い古しのでいいや、って。だからって犬よりボロいタオルあてがわなくてもいいじゃない。
独りで意地悪なお母さん役も姉役もシンデレラ役も全部やってるから人の2倍3倍疲れるんだな……
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